アカメガシワ
学名: Mallotus japonicus
コメント
名前の通り葉に赤みを持ったトウダイグサ科の植物です。その葉には蜜を出す腺があり、アミメアリをはじめとしたアリがよく蜜を食べに来ています。また、ムネアカチビボソタマムシというタマムシの仲間が蜜をもらいに来ます。カラスが実をよく食べるようで、糞としてまかれるせいか住宅地の道路をはじめ幅広く生えています。樹皮は漢方としても用いられるほか、葉は染め物にも使われるなど広く活用されます。
階級(簡略版)
階級 | 名前 |
---|---|
目 | キントラノオ目 (16種) |
科 | トウダイグサ科 (7種) |
属 | アカメガシワ属 (2種) |
階級(詳細版)
上界: 真核生物, 界: 緑色植物亜界, 門: ストレプト植物, 亜門: Streptophytina, 目: キントラノオ目, 科: トウダイグサ科, 亜科: Acalyphoideae, 族: Acalypheae, 属: アカメガシワ属
生息場所1
道路、公園、田んぼ、公共施設、空き地、川・池、建て物の周辺
生理活性化合物 2
化合物名 | 機能 |
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エピガロカテキン3ガレート | 風味。呈色。味を提供 |
ゲラニイン | 副腎皮質刺激ホルモン誘発性脂肪分解を増強(脂肪細胞中)。脂肪細胞のアドレナリン誘発性脂肪分解を阻害。誘導性脂質過酸化阻害(肝臓ミクロソーム) |
mallotochromene | 抗白血病(KB細胞株) |
Mallotusinic酸 | 副腎皮質刺激ホルモン誘発性脂肪分解を増強(脂肪細胞中)。誘導性脂質過酸化阻害(肝臓ミクロソーム) |
isobutyrylmallotochromene | 細胞毒性(KB細胞株) |
mallotophenone | 細胞毒性(in vitro:白血病L-5178Y細胞およびKB細胞系) |
butyrylmallotochromene | 細胞毒性(中:KB-細胞株) |
各種文献情報
生態
- 攪乱環境(林道わき、放棄地など)に好んで生える。3 m
- 若い葉ほど毛状突起(トライコーム)の密度が多く、草食性昆虫に対する防御性が高い。4
- 葉が成長するほど、アリ(クロヤマアリ、テラニシシリアゲアリ、アミメアリ、アメイロアリ、トビイロシワアリ、サクラアリなど)を誘引することによる間接的な防御を採用する。4
被食性
繁殖
- 雌雄異株。3 m
分布
- 本州以南に分布する。5 m
形態
- 種子は黒色で、直径3~4 mmになる。5 m
各種文献テーブル
食べる鳥3
四国のスギ人工林で鳥類によるアカメガシワ種子の被食を調査
- コゲラ、ジョウビタキ、エゾビタキ、サメビタキ、キビタキ、オオルリ、ヤマガラ、メジロ、キジバトが種子を食べていた。
- キジバトは種子を消化していた。
- キジバト以外は種子が未消化だった。
種名 |
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キジバト |
コゲラ |
ジョウビタキ |
キビタキ |
オオルリ |
サメビタキ |
エゾビタキ |
ヤマガラ |
メジロ |
カラスの糞の構成5
静岡県の丘陵の農道で調べたハシブトガラスとハシブトガラスの排泄物の構成
- アカメガシワ、エノキ、昆虫類が含まれていた。
- アカメガシワの種子は未消化のまま残されていた。
種名 | 含有率 |
---|---|
アカメガシワ | 47.3 |
エノキ | 41.7 |
カキノキ | 29.0 |
ムク | 8.5 |
ヨウシュヤマゴボウ | 7.1 |
イネ | 2.1 |
Fisus erecta | 1.4 |
Zanthoxyoxylum ailanthoides | 1.4 |
ハゼノキ | 1.1 |
Akebia sp. | 1.1 |
Trichosanthes cucumeroids | 0.7 |
Vitaceae | 0.7 |
ゴンスイ | 0.4 |
サンゴジュ | 0.4 |
ヒノキ | 0.4 |
スギ | 0.4 |
Acrida turrita | 0.4 |
Gryllidae | 0.4 |
Locustidae | 1.1 |
Coptosoma punctissimum | 0.7 |
クマゼミ | 6.7 |
アブラゼミ | 5.7 |
クロオオアリ | 0.4 |
クロヤマアリ | 0.4 |
Lasius sp. | 0.4 |
Formicidae | 0.7 |
Vespidae | 0.4 |
Coleoptera | 26.5 |
コアオハナムグリ | 0.7 |
Oligochaeta | 1.1 |
食べる虫4
岡山県のダイミ山で調査したアカメガシワの成長と虫による摂食の関係
- アリ、ノミハムシ、シャクガの仲間が食べる。
Herbivorespecies |
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サメハダツブトビハムシ |
ヨモギエダシャク |
アカメガシワホソガ |
ツマグロオオヨコバイ |
ナナフシモドキ |
ツマグロスケバ |
ドクガ |
クロミスジノメイガ |
アカメガシワハネビロウンカ |
ヒロヘリアオイラガ |
マエモンシロオビアオシャク |
オオズアリ |
クロヤマアリ |
Camponotus vitiosus |
テラニシシリアゲアリ |
アミメアリ |
アメイロアリ |
Tetramorium tsushimae |
ルリアリ |
サクラアリ |
Temnothorax spinosior |
発生
説明 | 画像 |
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幼木 | |
樹木 |
部位
説明 | 画像 |
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トライコーム | |
先端 | |
実 | |
幹 | |
花 | |
葉 | |
蜜腺 | |
雄花 | |
雌花 |
場所
説明 | 画像 |
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道路わき | |
道路わき |
関係
説明 | 画像 |
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アミメアリ | |
アメイロアリ | |
トビイロシワアリ | |
ナミテントウ | |
ムネアカチビナカボソタマムシ |
観察にもとづいた捕食・被食・競合などの関係を示します。
葉-同じ科
説明 | 画像 |
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アカメガシワ | |
エノキグサ | |
オオニシキソウ | |
コニシキソウ | |
ショウジョウソウ | |
ナンキンハゼ |
花-同じ科
説明 | 画像 |
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アカメガシワ | |
エノキグサ | |
オオニシキソウ | |
コニシキソウ |
幹-同じ科
説明 | 画像 |
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アカメガシワ | |
ナンキンハゼ |
実-同じ科
説明 | 画像 |
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アカメガシワ | |
エノキグサ | |
オオニシキソウ | |
コニシキソウ | |
ショウジョウソウ | |
ナンキンハゼ |
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(国土交通省が発表している「土地利用細分メッシュデータ」に基づいた生息場所です。 平成26年度版の情報に基づきます。 その土地利用区分内に発生することを保証するものではありません。 また、食料品・園芸・工芸品・加工品としての観察も含まれているため、自然下における観察状況とは異なる場合があります。) ↩︎
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knapsack doi: 10.1093/pcp/pcr165 ↩︎
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日本鳥学会誌,2005,54,23-28,doi:10.3838/jjo.54.23 ↩︎
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Journal of Ecology,2012,100,802-809,doi:10.1111/j.1365-2745.2011.01934.x ※「m」がついているものは孫引きした箇所です。 ↩︎
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山階鳥類学雑誌,2004,36,1-13,doi:10.3312/jyio.36.1 ↩︎